ReBirth Japan|自然出産回帰プロジェクト
― 社会の身体感覚を再起動し、自然出産の場を未来へ ―
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はじめに
今、日本では急速な少子化の進行とともに、「出産」のあり方そのものが、大きく変わりつつあります。都市部を中心に、無痛分娩が“標準化”されつつあり、自然分娩のみを提供する産院の多くが経営困難に直面しています。
それは、単なる出産様式の問題ではなく、いのちの営みに対する社会の感性が失われていくことをも意味します。私たちは、決して無痛分娩や他の出産法を否定するものではありません。すべての女性が自分にとって納得のいく出産方法を選べることが大切だと考えています。その上で、「自然に産みたい」と願う女性たちの選択肢が、現実から消えてしまうことへの危機感から、本プロジェクトを立ち上げました。
私たちの問い
- 自然出産の価値と場を、誰が・どう守るのか?
- 出産は、テクノロジーに“最適化”されるべき営みなのか?
- 自然分娩を安全に提供し続けながら、同時に、いのちを迎える営みとしての文化やつながりの豊かさを守るには、どのような場づくりが必要だろうか?
本プロジェクトの目的
「ReBirth Japan」は、自然出産を希望する人々の“選択肢”を社会に残すことを使命とし、以下の柱で活動を展開します:
1. 「自然出産の現場の継続可能性」を探る実践的検討
- 自然出産を扱う施設の経営持続の仕組みを多角的に検討(例:助産師主導施設、地域支援モデル、宿泊併設型など)
- 小規模施設や地方拠点のコレクティブ連携(ゆるやかな共同体化)の推進
- 自然出産を含む“暮らしの一部”としての新たな収益構造の模索(例:出産×農業、出産×食、出産×観光、出産×学び、など)
2. 「自然出産の文化的再評価」と「身体感覚の再起動」
- 自然出産を、医療技術の逆行ではなく、身体と社会の接続点として再評価
- 出産を通じて、身体性・つながり・いのちの物語を見直す教育・対話の場を構築
- 自然出産が、再選択されるために必要な社会的環境・文化的土壌の探求
現代において無痛分娩を選ぶ多くの女性たちは、必ずしも自らの強い意志によるものとは限らず、周囲の状況や情報、補助金などの政策、医療側の対応などに影響されて選択している場合もあります。
だからこそ本プロジェクトでは、自然分娩がもう一度選ばれるようになるには、どんな社会的環境・文化的土壌が必要なのかを探求していくことも、目的の一つと位置づけます。
加えて、日本には長い歴史の中で培われてきた自然分娩に関する知恵や技術、支え合いの文化があります。これらを国内にとどめず、いのちと出産環境が脅かされている地域――たとえば、戦争によって多くの命が失われたウクライナなど――に向けて共有・応用していく視点も、目的としたい柱の一つです。
さらに、グリーフケアの視点も不可欠です。妊娠出産に伴う心身のプロセスは、時に深い悲しみや喪失感とも向き合わなくてはなりません。私たちは、そうしたケアの在り方についても、文化的・感情的な豊かさを伴って見つめ直し、必要な支援や対話の場を整えていくことを目指します。
呼びかけ
「生まれる」という営みを守ることは、この社会の“人間らしさ”を守ることでもあります。
私たちは、自然出産を単なる選択肢としてではなく、未来へと手渡すべき「文化」として位置づけ、その場を持続可能にする仕組みづくりに本気で取り組みます。ご関心ある皆さま、ぜひ共に歩んでください。
名称:ReBirth Japan|自然出産回帰プロジェクト
発起人:竹内正人(産科医)
主な活動:理念共有・対話・研究会・現場経営支援の仕組み構築
開催形態:オンライン+リアル(東京・地域拠点)にて
2025/06/08
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